
アラカン紳士さん、実はわたし、塩麹を手作りしてみたのですけれど……
しょっぱすぎて、結局使いきれずに余らせてしまいましたの

おお、マダム
それは作り方でつまずいたのではなく、使い道を知らなかっただけですぞ

使い道、ですか…?
塩麹って、お漬物くらいしか思いつきませんわ

わたくしの家では、塩麹も醤油麹も、9年間ずっと切らしたことがございません
秘訣は、作り方よりも続け方にあるのです
- 塩麹を余らせてしまう本当の理由
- 塩麹・醤油麹・甘酒・発酵あんこ、4つの作り方と使い道
- 続けて感じた体の変化(減塩とお通じ)
- 市販の調味料と手作り麹の、原材料の違い
- 乾燥麹と生麹の違いと、米麹の選び方
米麹で塩麹を作ってみたものの、しょっぱすぎたり、芯が残ったり、余らせて期限切れにしてしまう。
そんな声を、まわりの女性からもよく耳にします。
失敗の原因は、作り方ではありません。
作ったあとにどう使うか、毎日の献立に組み込めていないだけなのです。
ガンをきっかけに「おおむねヴィーガン生活」を始めて、ヴィーガン歴は9年になりました。
わが家では妻が米麹から塩麹や醤油麹を仕込み、ずっと切らしていません。
塩の代わり、だしの代わり、砂糖の代わり。
米麹はキッチンの調味料をまるごと置き換えられる、頼れる存在です。
この記事では、余らせない使い道と、続けてわかった仕込みのコツ、そして体で感じた変化までを正直にお伝えします。
塩麹が続かない本当の理由|使い道の失敗あるある

塩麹づくりでつまずく人の多くは、仕込みで失敗しているわけではありません。
できあがった塩麹を、料理のどこで使えばいいのかがわからず、冷蔵庫の奥で眠らせてしまうのです。
まず、余らせてしまう典型的なパターンを整理します。

塩麹を「塩そのもの」の感覚で使うと、味が濃くなりすぎます。
塩麹の塩分は、じつは食塩のおよそ5分の1ほど。
同じ量の塩の代わりに入れると薄まってしまい、逆に塩と同じ重さを入れると塩辛くなります。
量の見当がつかないまま使い、しょっぱいという記憶だけが残ってしまうわけです。
置き換えの目安さえつかめば、塩麹はとても使いやすい調味料に変わります。

塩麹といえば野菜や肉を漬けるもの、というイメージが根強くあります。
漬け物だけでは、月に数回しか出番がありません。
出番が少なければ、当然使いきれずに余ります。
毎日の汁物や炒め物、ドレッシングにまで広げてこそ、麹が頼れる調味料に変わります。
使い道の間口を広げることが、余らせない一番の近道です。

麹づくりは炊飯器を長い時間ふさぎます。
思い立ったときに始めようとすると、ごはんを炊く予定と重なって腰が重くなります。
わが家では、麹がなくなりそうな日ではなく、炊飯器を使わない在宅の日にまとめて仕込みます。
仕込みを生活のリズムに組み込むと、切らさず続けられます。
米麹の使い道|わが家の回し方4選

ここからは、わが家で実際に作っている麹を紹介します。
妻が繰り返し作り、台所に定着した顔ぶれです。
まずは料理の土台になる塩麹と醤油麹、続いておやつ代わりになる甘酒と発酵あんこです。
どれも炊飯器ひとつで作れます。

塩麹は、塩を使う料理のほぼすべてに置き換えられます。
炒め物の下味、汁物の塩気、野菜の即席漬けなどです。
- 米麹300g
- 塩100g
- 水370ml(マルコメ「プラス糀」300g袋1袋分の目安)
- 米麹300g・塩100g・水370mlをジップロックに入れてよく混ぜる
- 布巾を敷いた炊飯器へ入れ、袋の口は指一本分だけ開ける
- 60度のお湯を袋の半分の高さまで注ぎ、濡れ布巾をかけて8時間保温する
- 途中2時間おきに袋の上からよく揉み、濡れ布巾も濡らし直す
塩の代わりに使うと、料理にうまみと丸みが生まれます。
置き換えの目安は、次のとおりです。
| 市販の調味料 | 置き換える麹 | 目安の量 |
|---|---|---|
| 塩 小さじ1 | 塩麹 | 大さじ1弱 |
| 醤油 大さじ1 | 醤油麹 | 大さじ1 |
| 砂糖 大さじ1 | 甘酒・甘麹 | 大さじ2 |
うまみが強いぶん、少なめから足して味を見るのが失敗しないコツです。
まずは味噌汁の塩気を塩麹に替えるところから始めると、続けやすくなります。

醤油麹は、材料が乾燥米麹100gと醤油200mlだけ。
清潔な容器に入れてよく混ぜ、60度で8時間発酵させれば完成する、一番シンプルな麹です。
- 乾燥米麹100g
- 醤油200ml
- 清潔な容器に乾燥米麹と醤油を入れてよく混ぜる
- 60度で8時間発酵させる
醤油そのものより、うまみと甘みがぐっと深くなります。
冷奴や納豆にひとかけ、炒め物の仕上げ、和え物の味つけに、醤油の代わりとして使えます。
作る手間が少ないので、麹づくりが初めての人にも向いています。
醤油麹から始めて、慣れたら塩麹に進むのもおすすめです。

甘酒は、炊飯器で炊いたおかゆを60度まで冷まし、米麹を混ぜて8〜10時間保温して作ります。
砂糖を一切使わず、米麹の力だけで自然な甘さが生まれます。
- おかゆ用の米1合(約150g)
- 米麹300g
- といだ米1合でお粥を炊飯器で炊き、60度まで冷ます
- 米麹300gを混ぜて濡れ布巾をかけ、8〜10時間保温する
- 途中2時間おきに混ぜ、濡れ布巾も濡らし直す
わが家では、できた甘酒を豆乳で割って飲むのが定番です。
朝の一杯として、妻が一番気に入っている使い方です。
料理では、砂糖の代わりにも使えます。
甘い物を控えたい人ほど、まず甘酒から試してほしい麹です。

発酵あんこは、炊いた小豆を60度に冷まし、米麹を混ぜて8〜10時間保温したものです。
砂糖を一切加えないのに、しっかり甘いのが驚きです。
- 小豆200g
- 米麹(乾燥)200g
- 水3カップ(600ml)
- 塩ひとつまみ
- 小豆200gをたっぷりの水で下茹でし、炊飯器で炊いて60度に冷ます
- 米麹(乾燥)200gと塩ひとつまみを混ぜて濡れ布巾をかけ、8〜10時間保温する
- 途中2時間おきに混ぜ、濡れ布巾も濡らし直す
トーストに塗ったり、白玉に添えたりと、罪悪感の少ないおやつになります。
甘い物が好きだけれど砂糖は減らしたい。
そんな願いに寄り添ってくれる、わが家の人気者です。
米麹は日本の「国菌」

米麹に使われる麹菌は、日本醸造学会が2006年に「国菌」と定めた、日本を代表する微生物です。
味噌、醤油、みりん、日本酒。
和食の味わいの多くは、麹菌の働きから生まれてきました。
麹の記録をたどると、奈良時代の書物「播磨国風土記」に行き着きます。
濡れた乾飯にカビが生え、生えたカビで酒を造ったという記述が残っており、日本で最も古い麹の記録とされています。
今から1300年ほど前のことです。
平安時代に入ると木灰で雑菌を抑える製法が見つかり、麹づくりは安定して行えるようになりました。
平安時代に築かれた技術が、今の種麹づくりの土台になっています。
家庭の炊飯器で作る一杯の甘酒もまた、1300年以上続く発酵文化の延長線にあります。
台所で麹を育てることは、日本の食文化を受け継ぐことでもあるのです。

上の4つ以外にも、わが家では季節や気分でさまざまな麹を仕込みます。
市販の調味料を置き換える形で、少しずつ台所に増えていきました。
| 麹の種類 | おもな材料 | 置き換える市販品 |
|---|---|---|
| 玉ねぎ麹 | 玉ねぎ・米麹・塩 | コンソメの素 |
| 中華麹 | 長ねぎ・生姜・にんにく・米麹・塩 | 中華だし |
| にんにく麹 | にんにく・米麹・塩・水 | にんにくチューブ |
| 生姜麹 | 生姜・米麹・塩・水 | 生姜チューブ |
| 甘麹 | 米麹・水 | 砂糖・生クリーム・ヨーグルト |
| なめたけ麹 | えのき・醤油・米麹ほか | 市販のなめたけ |
チューブ調味料をやめたい人には、にんにく麹と生姜麹がとくにおすすめです。
市販品の添加物を気にせず、香りの生きた薬味を常備できます。
米麹を続けて感じた体の変化|正直レビュー

麹を毎日の料理に使うようになって、体の感じ方が少しずつ変わってきました。
大げさな効果をうたうつもりはありませんが、続けたからこそ気づいた変化を正直にお伝えします。

麹のうまみに慣れると、濃い味つけを物足りなく感じなくなります。
妻は、味覚が繊細になった気がすると話しています。
塩麹の塩分は食塩のおよそ5分の1。
同じ満足感を、より少ない塩分で得られるのは、減塩を気にする40代以降の食卓にうれしい変化です。
市販の調味料よりマイルドに感じられるので、また作ろうという気持ちが自然と続きます。

麹の発酵食品は、腸内の環境に働きかけると報告されています。
八海醸造の研究では、便通が週2〜5日の成人44名が米麹だけの甘酒を3週間続けたところ、排便の日数や回数が有意に改善したと報告されています。
もちろん、麹だけで劇的に変わるわけではありません。
それでも、発酵食品を毎日の食事に無理なく組み込めることが、続けやすさにつながっています。
麹と同じように、腸の調子を内側から支える食べ方については、別の記事でくわしくまとめています。

いいことばかりではありません。
塩麹にも塩分は含まれるため、入れすぎれば当然塩分過多になります。
甘酒や発酵あんこも、砂糖不使用とはいえ糖質はあります。
飲みすぎ、食べすぎには気をつけたいところです。
麹は薬ではなく、あくまで毎日の調味料。
無理なく続けられる量を、料理に取り入れるのがちょうどよい距離感です。
手作り麹と市販の調味料の違い|原材料が全部見える

手作りの麹が市販の調味料と一番違うのは、何が入っているかがすべて見えることです。
台所で作る麹の材料は、米麹と塩と水、あるいは醤油だけ。
裏面の原材料表示を読み解く必要がありません。

市販の顆粒だしやコンソメには、うまみを補うための添加物や、動物性のエキスが含まれることがあります。
原材料の一つひとつを確認するのは、思いのほか手間です。
玉ねぎ麹はコンソメの代わり、中華麹は中華だしの代わりになります。
手作りなら、入っているのは野菜と米麹と塩だけ。
動物性の材料を避けたい人にとって、中身が全部見える安心感は大きな価値です。
市販品の裏側にある添加物との付き合い方は、別の記事でていねいに掘り下げています。

手作りの麹は、仕込むたびに少しずつ味が変わります。
気温や発酵の時間で、甘みやうまみの出方が違ってくるからです。
はじめは戸惑うかもしれませんが、続けるうちに好みの塩加減や発酵具合が見えてきます。
市販品にはない、わが家だけの味に育てていけるのが、手作りの醍醐味です。
なめたけ麹の失敗談

麹づくりは、いつも成功するわけではありません。
わが家で一度つまずいたのが、なめたけ麹でした。
レシピに常温で置くと書いてあったので、書かれた通りに常温で発酵させたところ、発酵している手ごたえがまるでありませんでした。
そこで炊飯器に移して発酵させ直したところ、今度はおいしく仕上がりました。
レシピ通りにいかない日もあります。
迷ったら、いつもの炊飯器発酵に戻す。
失敗をひとつ越えるたびに、麹との距離が縮まっていきます。
使っている米麹と選び方|乾燥と生の違い

麹づくりの仕上がりは、使う米麹で大きく変わります。
わが家が実際に使っている銘柄と、選ぶときの考え方を紹介します。

お店にいろいろな米麹が並んでいて、どれを選べばよいのか迷ってしまいますわ

まずは乾燥タイプをひと袋
保存がききますから、仕込みの予定に縛られませんぞ

妻が長く使っているのは、マルコメの「プラス糀 米こうじ」の乾燥タイプです。
原材料は米こうじだけで、スーパーでも通販でも手に入りやすいのが続けやすい理由です。
製造を担うのは、新潟県魚沼市にあるマルコメの100%子会社・魚沼醸造株式会社。
日本屈指の米どころで、越後三山から流れる軟水を使い、米こうじと糀甘酒づくりに特化した世界最大級ともいわれる工場でつくられています。
袋の裏に塩麹や甘酒のレシピも載っているので、初めての人でも迷いません。
まずは手に入りやすい乾燥タイプから始めるのが、挫折しないコツです。

米麹には、乾燥タイプと生タイプがあります。
乾燥麹は常温で長く保存でき、いつでも仕込めるのが利点です。
生麹は香りが豊かで発酵力も高い一方、日持ちしないため使いきる前提が必要です。
まず続けることを優先するなら、保存のきく乾燥麹が安心です。
慣れて仕込みのペースがつかめてきたら、生麹の香りを試すのも楽しみのひとつです。

わが家が使っているマルコメの米こうじは、原料のお米がアメリカ産です。
国産米にこだわりたい人には、別の選び方もあります。
米麹を選ぶとき、原料のお米の産地を気にする人もいます。
国産米にこだわった米麹も市販されています。
産地や価格、手に入りやすさは商品ごとに違います。
まずは身近で買える一袋から始め、続けられそうなら好みの銘柄を探していくのがおすすめです。
米麹の使い道 よくある質問

- 米麹と米糀は、何が違うのですか?
- 読み方も意味も同じで、表記が違うだけです。
糀は日本で生まれた漢字で、米に花が咲くように菌が育つ様子を表しています。
商品によって米麹と書いたり米糀と書いたりしますが、中身は同じものです。
- 塩麹はどのくらい日持ちしますか?
- 冷蔵庫で保存すれば、2〜3か月ほどを目安に使いきれます。
清潔なスプーンで取り分け、雑菌が入らないようにするのが長持ちのコツです。
色が濃くなる程度は問題ありませんが、変なにおいがしたら使うのをやめてください。
- 米麹はそのまま食べても大丈夫ですか?
- 米麹はそのまま少量食べても問題ありません。
ただし味はほのかに甘い程度で、単体で食べるものではなく、塩麹や醤油麹、甘酒などに加工して使うのが基本です。
乾燥麹は乾いた粒のままなので、そのまま口にするよりも、水分と合わせて発酵させたほうが香りも食感も楽しめます。
- 醤油麹にとろみがつきません。
失敗でしょうか? - 米こうじの粒が指でつぶせて、とろみが出てきたら完成のサインです。
8時間の保温でとろみが足りないときは、温度が下がっている可能性が高いので、さらに2〜4時間ほど保温を続けてみてください。
途中で2時間おきに混ぜると、発酵のムラも防げます。
それでも変化がないときは、麹の量に対して醤油が多すぎないか見直してみてください。
- 米麹だけの甘酒は、子どもや妊娠中でも飲めますか?
- 米麹だけで作る甘酒は、酒粕を使わないためアルコールを含みません。
子どもや妊娠中の方でも飲める甘い飲み物として親しまれています。
ただし糖分はあるので、飲みすぎには気をつけたいところです。
おわりに|米麹の使い道は暮らしのなかで回していく

塩麹を余らせてしまうのは、作り方が下手だからではありません。
できた麹に、毎日の料理で出番をつくれていなかっただけです。
塩の代わりに塩麹、だしの代わりに玉ねぎ麹や中華麹、砂糖の代わりに甘酒や発酵あんこ。
市販の調味料をひとつずつ麹に置き換えていくと、麹は自然と切れなくなります。
わが家が9年続けてこられたのも、特別な技術があったからではありません。
炊飯器を使わない日にまとめて仕込み、料理にどんどん回す。
その繰り返しだけです。
まずは、手に入りやすい乾燥麹をひと袋。
味噌汁の塩気を塩麹に替えるところから、あなたの台所でも麹を回し始めてみてください。
台所で発酵と付き合う楽しさは、米麹だけにとどまりません。
米ぬかを使った日々のケアについては、3か月の実体験レビューをまとめています。
乳製品を使わないチーズを、酒粕から作る方法も紹介しています。
発酵の力で食卓を広げたい人は、あわせて読んでみてください。
参考・出典
・八海醸造株式会社「知るほどスゴい麹甘酒のチカラ」
https://www.hakkaisan.co.jp/research-development/koji-amazake/koji-amazake02
・日本醸造学会「国菌」認定(2006年)
