
アラカン紳士さん、ヴィーガンって誤解されやすいと思いませんこと?
体に悪いとか、無理してるとか言われて少し不安ですわ。

マダム、それはお気の毒に。
誤解は多いもの。
ですが、本当のところを知れば安心できますぞ。

まぁ、それなら良いのですが…
年を取ると体に悪いって言われるのも気になりますわ。

心配いりませぬ。
これから13の誤解をひとつずつ解いて参りましょう。
はじめに ヴィーガンへの誤解とアラカン世代の選択

ヴィーガンは誤解されやすい。
そんなふうに感じたことはありませんか?
体に悪いんじゃないか
年を取ったら危険だよ
無理してるだけでしょ
こうした言葉に、不安になったり迷ったりするのは当然です。
特に40代後半から60代にかけて、体力や骨の健康、家族との食事のことが気になり始める時期。
私自身、ヴィーガン歴7年ですが、同じような誤解をたくさん受けてきました。
けれど、ガンが寛解した後、おおむねヴィーガン生活を送るようになってから、体調が良くなり、検査値もすべて正常。
今では、薬も飲まずに元気に過ごし、ハワイのロードレースに向けてトレーニングを楽しむ毎日です。
この記事では、ヴィーガンに良くある13の誤解を一つずつわかりやすく解説します。
誤解を解き、安心してやさしい選択を続けるためのヒントになるでしょう。
- ヴィーガンが誤解されやすい理由
- 栄養不足や健康面の真実
- 年齢を重ねたときの注意点
- 家計や家族との向き合い方
- 誤解を乗り越えるための考え方
ヴィーガンが誤解される理由

ヴィーガンというだけで、なぜか誤解されることが多いと感じませんか。
家族や友人、周りからの心配や偏見に、戸惑うこともあるでしょう。
ここでは、ヴィーガンが誤解されやすい3つの背景をお伝えします。

日本ではヴィーガン人口が少なく、日常で出会う機会もほとんどありません。
そのため「珍しいもの=特別で極端なもの」と見られやすいのです。
私自身もヴィーガンを始めた頃は、
そんな生活、無理じゃない?
何を食べているの?
と聞かれることが多くありました。
周囲に理解者がいないと、誤解を受けるのも無理はありません。

もうひとつの理由は、メディアの取り上げ方です。
ニュースやネットでは、どうしても過激な活動家や極端な事例が目立ちます。
そのため「ヴィーガン=厳しくてストイック」というイメージが強くなるのです。
実際には、日常的に無理なく続けるヴィーガンも多いのに、
そうした穏やかな実践者の姿はあまり紹介されません。

さらに大きな原因は、正しい情報がまだ十分に伝わっていないことです。
例えば
ヴィーガンは栄養失調になる
年を取ると危険
という話もよく聞きます。
でも実際には、計画的に続ければ健康的で、心臓病や糖尿病、がんのリスクを減らせることもわかっています(参考:The Academy of Nutrition and Dietetics, 2016)。
知識不足が誤解を生み、不安を増幅させる。
だからこそ、自分自身が正しい情報を持つことが、周りの声に振り回されない第一歩です。
ヴィーガンはみんな健康的?

ヴィーガンと言うと、「健康意識が高くて、みんな元気そう」というイメージを持たれる方もいると思います。
でも実際にはどうなのでしょうか。
ここでは、ヴィーガンと健康の本当の関係についてお伝えします。

ヴィーガンだからといって、必ずしも健康的であるとは限りません。
野菜や豆類をしっかり食べている人もいれば、ポテトチップスや砂糖たっぷりのお菓子だけで済ませる人もいます。
実際、加工食品ばかりのヴィーガン食では、糖質過多や栄養不足になる可能性も。
私も最初はヴィーガン菓子や代替肉に頼りすぎて、体重が増えてしまった経験があります。

ヴィーガンで健康を維持するためには、栄養バランスを考えることが大切です。
野菜や果物だけでなく、たんぱく質源として豆腐や納豆、レンズ豆などを積極的に取り入れましょう。
全粒穀物やナッツ、海藻類も、ビタミン・ミネラルの補給に役立ちます。
偏ったヴィーガン食は、偏った肉食と同じ。
健康は、何を食べるかの選択次第なのです。

「ヴィーガン=健康」というよりも、
ヴィーガンでも食事内容次第で健康にも不健康にもなる
というのが現実です。
実際に私は、加工食品を減らし、豆類や全粒粉のパンを中心にしてから、疲れにくくなりました。
体は食べたものでできている。
ヴィーガンだからこそ、何を食べるかをしっかり選ぶことが大切です。
ヴィーガンは動物性製品を避けるだけ?

ヴィーガンと聞くと、「肉や魚、卵、乳製品を食べない人」というイメージが強いかもしれません。
でも実際には、それだけではないのです。
ここでは、ヴィーガンがどのように生活全般で動物性を避けているのかをお伝えします。

多くの人は、ヴィーガン=食事だけの制限だと思いがちです。
確かに食事は大きな部分を占めますが、ヴィーガンの多くは衣類や日用品にも気を配ります。
例えば、革靴やウールのジャケット、ダウンコートも動物性素材です。
私も以前は革靴やウールのコートを当たり前に選んでいましたが、今は合皮や植物繊維、リサイクル素材の製品を選ぶようになりました。

動物素材を使わない選択をした人は、ゼラチン(豚や牛由来)やカゼイン(乳由来)、シルクも避けます。
化粧品でも動物性成分を含まないヴィーガンコスメや、動物実験をしていないブランドを選ぶ人が増えています。
「ヴィーガン製品を探すのは大変なのでは?」と思う人も多いでしょう。
しかし、選択肢は年々広がり、今では普通のスーパーやドラッグストアでも見つけられる時代になりました。

40代後半から60代になると、洋服や化粧品も長く使う品質を選びたくなるもの。
植物由来素材やサステナブルブランドは、肌にも環境にもやさしく、年齢を重ねた私たちにも心地よい選択肢です。
ヴィーガンは「我慢」ではなく、体と地球にやさしい選び方。
そう考えると、毎日が少し誇らしく感じられます。
ヴィーガンは動物愛護だけが目的?

ヴィーガンというと、「動物がかわいそうだからやっているんでしょ?」と言われることが多いかもしれません。
でも実際には、それだけではありません。
ここでは、ヴィーガンを選ぶ3つの理由をお伝えします。

動物愛護は、ヴィーガンを選ぶ大きな理由のひとつです。
畜産業では、狭いスペースで育てられたり、成長ホルモンや抗生物質を投与される動物も多くいます。
こうした現状を知り、「動物の犠牲の上で成り立つ食事を変えたい」と考える人は少なくありません。
動物の命を奪わない選択は、ヴィーガンの基本的な考え方のひとつです。

環境問題への関心からヴィーガンを選ぶ人も増えています。
畜産業は二酸化炭素やメタンガス排出による地球温暖化への影響が大きく、水や穀物の大量消費も問題視されています。
家畜を育てるためには膨大な飼料や水が必要で、森林伐採や土地利用の問題も深刻です。
食事を植物性に変えることで、環境への負荷を減らす選択ができるのです。

また、健康管理やダイエット目的でヴィーガンを始める人もいます。
動物性脂肪を減らすことでコレステロール値が改善し、糖尿病や心臓病など生活習慣病のリスクを下げられる可能性があります。
体重管理や美容面でヴィーガンを選ぶ「ダイエタリーヴィーガン」と呼ばれる人も増えています。
このように、ヴィーガンは健康的な体作りを目指す人にも選ばれているのです。
ヴィーガンは社会性がない?

ヴィーガンって、周りと食事が合わなくて付き合いづらそう。
そんなふうに考えてはいませんか?
ここでは、ヴィーガンと社会性についての誤解を解説します。

ヴィーガンは外食や会食ができないと思われがちです。
確かに、すべての飲食店にヴィーガン対応メニューがあるわけではありません。
でも、最近ではヴィーガンメニューを用意する店も増えていますし、和食店では野菜や豆腐料理、うどん店ではわかめうどんなど選択肢があります。
事前に確認したり、周りに伝えておくだけで十分に楽しめます。

ヴィーガンだからといって、周りに強制する必要はありません。
むしろ「私はこうしているけど、みんなは好きなものを楽しんでね」というスタンスでいることで、場の雰囲気も和らぎます。
家族と食卓を囲むときも、共通のメニューにヴィーガン料理をプラスするなど工夫できます。
一緒に食べる楽しみは、食材を変えても変わらないものです。

ここで知っておきたいのが、「おおむねヴィーガン」という考え方です。
完全菜食を徹底するのではなく、普段はヴィーガン中心の食生活を送りながらも、外食や会食、旅先などでは柔軟に選択するスタイルです。
この考え方は、無理なく続けられるだけでなく、社会生活とのバランスも取りやすくなります。
完璧を目指すよりも、できる範囲でやさしい選択を増やす。
それが、アラカン世代にとっても心地よく続けられるヴィーガンの形です。
ヴィーガンは年齢を重ねると危険?

ヴィーガンって、若い人がやるものでしょう?
アラカンになってヴィーガンなんて体に悪いでしょう?
そんな噂を、聞いたことはありませんか。
ここでは、ヴィーガンと年齢に関する誤解を解説します。

ヴィーガンは高齢になると危険だと言われることがよくあります。
その理由は、加齢に伴う体の変化にあります。
年齢を重ねると、筋肉量が減り、骨密度も低下しやすくなるため、たんぱく質やカルシウム不足が心配されます。
また、ビタミンB12の吸収力も落ちるため、欠乏すると貧血や神経障害のリスクが高まることもあります。
これらの栄養素は動物性食品に多く含まれるため、ヴィーガンでは不足しやすいと考えられがちです。
さらに、高齢者は食が細くなりやすく、必要なカロリーや栄養を十分に摂れない場合もあります。
そのため「ヴィーガンは若い人のもので、高齢者には危険」と言われることが多いのです。

しかし実際には、ヴィーガンでも計画的に食事を組み立てれば問題ありません。
豆類や大豆製品、ナッツや全粒穀物でたんぱく質を補い、カルシウムは小松菜やチンゲン菜、ごまから、ビタミンB12はサプリメントで補給するのが一般的です。
海外の研究でも、高齢者がプラントベース中心の食事を続けることで、心血管疾患リスクが減少したという報告もあります(参考:Journal of Geriatric Cardiology, 2017)。
栄養素 | ヴィーガンでの主な食材・摂取源 |
---|---|
たんぱく質 | 豆腐、納豆、レンズ豆、ひよこ豆、枝豆、全粒穀物、ナッツ類 |
鉄分 | ほうれん草、小松菜、ひじき、大豆製品、レンズ豆、かぼちゃの種(ビタミンCと一緒に摂取) |
カルシウム | 小松菜、チンゲン菜、ケール、ごま、カルシウム強化植物性ミルク |
ビタミンB12 | 栄養酵母(B12強化)、植物性ミルク(B12強化)、サプリメント |
オメガ3脂肪酸 | アマニ油、チアシード、エゴマ油、くるみ |
ビタミンD | きのこ類(特に日光に当てたもの)、サプリメント、適度な日光浴 |
亜鉛 | かぼちゃの種、ひよこ豆、レンズ豆、全粒穀物、ナッツ類 |

年齢を重ねるほど、無理なく続けることが大切になります。
若い頃と同じように極端な食事制限をすると、体力や免疫力の低下を招く可能性があります。
そのため最近では、おおむねヴィーガンという考え方が注目されています。
普段は植物性中心の食事を心がけ、外食や旅行、会食の際には柔軟に動物性食品も取り入れるスタイルです。
この方法なら、たんぱく質やカルシウムなど不足しがちな栄養素も取り入れやすくなります。
さらに、周りと食事を楽しむ機会を減らさずに済むため、社会性を保ちながら健康的なライフスタイルを続けられます。
完璧を目指すのではなく、年齢や体調に合わせてバランスを取りながら実践する。
それがアラカン世代にとって、現実的で続けやすいヴィーガンスタイルなのです。
ヴィーガンは年齢を重ねると体力が落ちる?

「ヴィーガンって、年を取ったら体力が落ちるんじゃない?」
そんなふうに思ったりしていませんか。
ここでは、ヴィーガンと体力低下に関する誤解を解説します。

年齢を重ねると筋肉量が減少しやすく、体力の衰えを感じることが増えます。
さらに、ヴィーガンは肉や魚を食べないため、たんぱく質不足になりやすいと思われがちです。
「動物性たんぱく質を摂らないと力が出ない」というイメージも根強く、高齢ヴィーガンへの心配が広がっています。

実際には、植物性食品からも十分なたんぱく質を摂取できます。
豆腐や納豆、レンズ豆、ひよこ豆などは高たんぱくで消化吸収も良く、
ナッツ類や全粒穀物もたんぱく質源として優秀です。
また、植物性食品には食物繊維や抗酸化物質も豊富に含まれるため、健康維持に役立ちます。
ポイントは、量と種類を意識して組み合わせること。
一食でまとめて摂るのではなく、朝昼夕に分けて取り入れると効率よく吸収できます。
食材 | たんぱく質量(100gあたり) |
---|---|
木綿豆腐 | 約7.0g |
絹ごし豆腐 | 約4.9g |
納豆 | 約16.5g |
レンズ豆(乾燥) | 約24.6g |
ひよこ豆(乾燥) | 約20.5g |
黒豆(乾燥) | 約21.6g |
大豆(ゆで) | 約16.0g |
アーモンド | 約20.0g |
くるみ | 約14.6g |
ピーナッツ | 約25.4g |
全粒粉パン | 約12.0g |
オートミール | 約13.7g |
玄米 | 約2.5g |
ブロッコリー | 約3.9g |
ほうれん草 | 約2.6g |

体力低下を防ぐためには、食事だけでなく運動も重要です。
特にスクワットや軽い筋トレ、ウォーキングなど、無理のない範囲で筋肉を使う習慣を続けること。
筋肉は使わないと衰えるため、たんぱく質摂取と運動をセットで考えることが大切です。
ヴィーガンだから体力が落ちるのではなく、年齢に合わせた運動と食事の工夫次第で、元気な毎日を送ることができます。
ヴィーガンは骨粗しょう症になりやすい?

「ヴィーガンだと骨が弱くなるんじゃない?」
そんなふうに心配されたことはありませんか。
ここでは、ヴィーガンと骨粗しょう症の関係について解説します。

年齢を重ねると、骨密度の低下が進みやすくなります。
特に女性は閉経後、ホルモンバランスの変化で骨がもろくなりやすいため、
カルシウムやビタミンDの不足が骨粗しょう症の大きな要因となります。
ヴィーガンは乳製品を摂らないため、「カルシウム不足で骨が弱くなるのでは」と心配されることが多いのです。

実際には、カルシウムは植物性食品からも十分摂取可能です。
小松菜やチンゲン菜、ケール、ごま、アーモンドなどはカルシウムが豊富。
また、カルシウム強化タイプの豆乳やオーツミルクを選ぶのも効果的です。
ただし、カルシウムの吸収にはビタミンDも必要です。
きのこ類(特に日光に当てたもの)や、適度な日光浴も骨の健康維持には欠かせません。
食材 | カルシウム量(100gあたり) |
---|---|
木綿豆腐(にがり使用) | 約120mg |
絹ごし豆腐 | 約43mg |
納豆 | 約90mg |
小松菜 | 約170mg |
チンゲン菜 | 約100mg |
ケール | 約150mg |
ごま | 約1200mg |
アーモンド | 約250mg |
ヒジキ(乾燥) | 約1400mg |
切り干し大根(乾燥) | 約500mg |
いりごま(白) | 約1200mg |
豆乳(無調整) | 約15mg |
カルシウム強化豆乳 | 約100〜150mg(製品による) |
オーツミルク(カルシウム強化) | 約120mg |

骨粗しょう症を防ぐためには、
- カルシウムとビタミンDを意識して摂る
- 軽い筋トレやウォーキングなどの運動を習慣化する
- 日光浴でビタミンDを生成する
ことが大切です。
ヴィーガンだから骨が弱くなるわけではありません。
年齢に合わせて食事と運動を工夫すれば、骨の健康も十分に守ることができます。
牛乳と骨の健康の意外な関係
「牛乳を飲むと骨が強くなる」と思っている人は多いでしょう。
しかし近年の研究では、牛乳を多く飲む女性は骨折リスクや死亡率が高まる可能性があることが指摘されています。
例えばスウェーデンの研究では、毎日3杯以上の牛乳を飲む女性は、骨折のリスクが増加し、死亡率も高くなると報告されています。
これは、牛乳に含まれる乳糖の代謝産物D-ガラクトースが、酸化ストレスや慢性炎症を引き起こし、骨の健康に悪影響を与える可能性があるためと言われています。
もちろん、カルシウムは骨に必要ですが、摂り方や量、ビタミンDとのバランスも重要。
牛乳だけに頼らず、野菜や豆製品など多様な食材からカルシウムを摂取することが、骨の健康を守る鍵なのです。
ヴィーガンはストイックすぎる?

「ヴィーガンって、なんだかストイックすぎて大変そう。」
そんな話を聞いたことはありませんか。
ここでは、ヴィーガン=ストイックという誤解を解説します。

ヴィーガンは、肉も魚も卵も乳製品も食べないため、
そこまで我慢して大丈夫?
人生楽しめないんじゃない?
と思われがちです。
特に日本では、肉や魚を中心にしたメニューが日常的であり、それを避けることは“制限”や“修行”のように見られがちです。
メディアでも、極端な活動家や厳格なヴィーガンばかりが取り上げられ、
「ヴィーガン=厳しい食生活」というイメージが強まっています。
そのため、ヴィーガンを選んでいる人も、周囲に「すごいね」「よく耐えられるね」と言われることが多いのです。

しかし実際には、多くのヴィーガンは無理なく日常に取り入れています。
豆類や大豆ミートを活用したハンバーグ、ナッツや全粒粉パンを使ったサンドイッチ、
植物性ミルクで作るカフェラテやスイーツなど、
美味しくて満足感のある食事を日々楽しんでいる人が多いのです。
ヴィーガン料理は世界各国で発展していて、インドカレーやタイ料理、イタリアン、和食にも豊富なヴィーガンメニューがあります。
「食べられないものが多い」ではなく、
「新しい食材や調理法を知る楽しみが増える」という感覚を持つ人も少なくありません。

ヴィーガン=完璧主義と思われがちですが、最近ではおおむねヴィーガンという考え方も広がっています。
普段は植物性中心でも、外食や旅先、会食では無理をせず、状況に合わせて選択する。
この柔軟さが、心と体への負担を減らし、結果として長く続けられるポイントになります。
完璧を目指すよりも、できる範囲でやさしい選択を続けること。
それこそが、ストイックどころか自分を大切にするライフスタイルなのです。
周囲からは厳しそうに見えても、実際は無理をせず、心地よさを基準にしている人が多いのです。
日本と世界のヴィーガン人口って?
「ヴィーガンって少数派なんじゃない?」
そう思う人も多いかもしれません。
日本ではヴィーガンの割合は約2.4%、ベジタリアンは約4.5%とされています。
一方で、世界全体ではヴィーガンは約1~3%、ベジタリアンは約5%が一般的。
特にインドでは28%がベジタリアンといわれています。
さらに、最近注目されているのが「フレキシタリアン」。
普段は肉も魚も食べるけれど、動物性食品を意識的に減らす人たちで、日本でも約26%に達しているそうです。
完全ヴィーガンじゃなくても、やさしい選択をする人は確実に増えているのですね。
ヴィーガンは宗教みたい?

ヴィーガンと聞くと、なんだか宗教っぽいと思う人もいるかもしれません。
厳しくて特別な世界のように感じると、始める前から不安になることもあるでしょう。
ここでは、ヴィーガンと宗教の関わり、そしてそのイメージについて解説します。

ヴィーガンは、動物性食品を一切摂らないという強い信念を持つ人が多くいます。
そのため、周りから見ると「厳格すぎて宗教みたい」と感じられることがあります。
また、一部のヴィーガンが環境問題や動物愛護について強く発信することで、
「思想を広めようとしている」ように見えることも誤解の一因です。

しかし実際には、ヴィーガンは宗教ではなく、個人の価値観や選択によるライフスタイルです。
動物愛護や環境保護、健康など理由はさまざまで、思想を強制するものではありません。
ヴィーガンという選択肢は、誰かを批判したり縛ったりするためではなく、
自分自身が納得できる生き方を選んでいるにすぎないのです。

実際、世界には宗教的な理由でヴィーガンやベジタリアンを実践している人たちもいます。
例えばインドでは、ヒンドゥー教やジャイナ教の教えに基づき、肉や魚を避ける人が多くいます。
仏教でも、戒律の一環として菜食を選ぶ僧侶もいます。
こうした宗教的背景では、動物への慈悲や命を奪わないという考え方が根底にあり、
ヴィーガンやベジタリアンは信仰と深く結びついています。
しかし宗教で実践されるヴィーガンも、悪いものではありません。
むしろ、命を尊重する精神性として受け継がれてきた知恵ともいえるでしょう。
ヴィーガン=宗教というよりも、宗教の中にもヴィーガンという選択がある。
そう捉えると、新たな視点が見えてくるかもしれません。
ヴィーガンは本当に続けられる?

ヴィーガンを始めようと思っても、「本当に続けられるのかな…」と不安になることは自然なことです。
ここでは、ヴィーガンを続けるための現実とコツについて解説します。

ヴィーガンは食材選びや外食のハードルが高いと思われがちです。
いつも同じものばかりになりそう
家族と別メニューになるのが大変
そんな不安を抱える人は多いでしょう。
また、周囲から「大変そう」「やめたほうがいい」と言われると、始める前から心が折れてしまうこともあります。

実際には、ヴィーガンを長く続けている人もたくさんいます。
ポイントは、完璧を目指さないこと。
まずは週1回のヴィーガンデーから始めたり、動物性食品を1品減らすだけでも十分です。
最近ではスーパーやコンビニにもヴィーガン対応商品が増え、外食でも豆腐ハンバーグや野菜料理など選択肢が広がっています。
食材やレシピを工夫することで、飽きることなく楽しめるのです。

ヴィーガンを続けるうえで大切なのは、「こうしなければいけない」という完璧主義を手放すことです。
人によって体質も生活環境も違うからこそ、取り入れ方もさまざまでいいのです。
ある人は完全ヴィーガンを選び、ある人は平日だけ動物性食品を避ける。
またある人は、外食や旅先では柔軟に取り入れるおおむねヴィーガンというスタイルを選びます。
ヴィーガンに正解なんてありません。
大切なのは、自分が心地よいと思える温度感で取り入れ続けること。
そうすることで、無理なく自然体で続けられるライフスタイルになっていきます。
その他、良くある誤解

ヴィーガンに関しては、ここまで解説してきた以外にもさまざまな誤解があります。
ここでは、特によく聞かれる3つの誤解について解説します。
- ヴィーガンは筋肉がつきにくい?
- そんなことはありません。
植物性食品でも、豆類、大豆ミート、全粒穀物、ナッツ類をしっかり摂れば十分なたんぱく質を確保できます。
実際、世界にはヴィーガンのアスリートやボディビルダーも多く存在します。
重要なのは、たんぱく質の種類と摂取タイミングを意識することです。
- ヴィーガンは外食で困る?
- 最近ではヴィーガン対応の店も増えており、和食店では野菜料理や豆腐料理、中華でも野菜炒めや麻婆豆腐(肉なし)など選べるメニューがあります。
事前にメニューを確認したり、外食先で「肉なしにできますか?」と聞いてみるのも一つの方法。
完璧を目指すより、選べる範囲で楽しむことが大切です。
- サプリメントは必ず必要?
- おおむねヴィーガンの場合、動物性食品を完全に排除していないため、必ずしもサプリメントが必要というわけではありません。
ただ、ビタミンB12だけは植物性食品にほとんど含まれないため、完全ヴィーガンの場合はサプリメントでの補給が推奨されます。
おおむねヴィーガンでも、動物性食品の摂取量がかなり少ない場合は注意が必要です。
血液検査で不足がないか確認しながら、必要に応じて取り入れると安心です。
おわりに|ヴィーガンの誤解を超えて、自分らしい選択を

ここまで、ヴィーガンにまつわるさまざまな誤解を解説してきました。
ヴィーガン=栄養不足、ストイック、宗教みたい、続けられない…
そんなイメージが先行しがちですが、実際には人それぞれの温度感で取り入れられるライフスタイルです。
特にアラカン世代になると、健康管理や環境への意識、家族との時間など、考えることが増えていきます。
だからこそ、「ヴィーガンに正解はない」という視点を忘れないでください。
完全ヴィーガンを目指す人もいれば、普段は植物性中心、外食では柔軟に対応するおおむねヴィーガンの人もいます。
大切なのは、自分にとって心地よい選択をすること。
完璧でなくていい。
やさしい選択を、今日の食卓から一歩ずつ。