【卵は食べてもOK?】ヴィーガンが卵を避ける本当の理由とやさしい選択

ヴィーガン淑女
ヴィーガン淑女

アラカン紳士さん、ヴィーガンは卵も召し上がらないと聞きましたわ。
でも、無精卵なら誰にも迷惑をかけていないように思えて…
少し混乱しておりますの。

アラカン紳士
アラカン紳士

ああ、マダム。そのお悩み、もっともでございます。
ですが、卵の裏側には、少々心苦しい事情が隠されておりますのですよ。

ヴィーガン淑女
ヴィーガン淑女

まぁ…心苦しい?
卵は毎朝の目玉焼きが楽しみなのに…。
どんな事情ですの?

アラカン紳士
アラカン紳士

健康の観点と動物福祉の観点。
その二つが絡み合っておりましてね。
とはいえ、理解した上での選択こそが、真のエレガンスだと私は思っております。

はじめに|ヴィーガンと卵、ちょっとモヤる問題

ヴィーガンは卵もNG
そんな話を聞いて、ちょっと戸惑ったことはありませんか?

卵って、ニワトリが自然に産むもの
命を奪うわけじゃないし、
「これくらいならいいんじゃない?」
と思ってしまうのも自然なことです。

でもその背景には、あまり知られていない動物搾取や命の選別という現実があります。

今回は、卵とヴィーガンの関係について、できるだけやさしく、でも正直にお伝えします。
完璧を目指すより、「おおむねヴィーガン」なスタイルで、できることから始めてみませんか?

この記事で分かること
  • ヴィーガンが卵を食べない理由とその背景
  • オスひよこの殺処分など、卵の生産にまつわる問題
  • 卵の優れた栄養価とその魅力
  • 「おおむねヴィーガン」な柔軟なライフスタイルのあり方
  • 小さな行動が社会を変えるという希望

そもそも、なぜヴィーガンは卵を食べないの?

ヴィーガンの基本的な考え方は、「動物搾取に加担しない」ことです。
だから肉や魚はもちろん、ミルクや卵も避けるのがスタンダードとされています。

でも、卵って
ニワトリが自然に産むものだし、取るだけなら問題ないんじゃない?
と思いますよね。
実際、自然な環境で暮らすニワトリたちは、ストレスなく卵を産むこともあります。

しかし、現実の「商業用の卵生産システム」は全然違います。
私たちが普段スーパーで手に取る卵は、工業的に大量生産された結果なんです。

このシステムの中で、ニワトリたちは自由を奪われ、効率重視で扱われ、時には命まで軽んじられてしまう。
ヴィーガンは、こうした背景まで含めて卵を避けている、というわけです。

卵をめぐるリアルな問題まとめ

卵って、あまりにも当たり前に身近にあって、
深く考えたことがない人も多いかもしれません。

でも、ちょっとだけその背景をのぞいてみると、
そこには「えっ、そんなことが…?」と思わされる現実があるのです。

ここからは、卵にまつわるリアルな一面を、
できるだけやさしく、わかりやすくお伝えしていきますね。

オスのひよこが可哀想なことになってる件

ここで、まず知ってほしいのが、オスのひよこの問題

卵を生産するために育てられる鶏は、「レイヤー」と呼ばれる特別な品種です。
このレイヤーは「卵をたくさん産む」ために品種改良されています。

でも、オスのひよこはどうでしょう?
 卵は産めないし
 肉用(ブロイラー)としても成長速度が遅く
経済的価値がないと見なされます。

つまり、レイヤー種のオスは、生まれた瞬間に「不要」と判断されてしまうのです。

世界で65億羽、日本で1億羽が…【閲覧注意】

そして衝撃的な現実がこちら。
世界中で毎年、約65億羽のオスひよこが殺処分されています。
日本国内だけでも、年間約1億羽

しかも、殺処分の方法はとても残酷で、
 シュレッダーにかけて粉砕する
 窒息させる(ガスなど)
といった方法が一般的です。

生まれてわずか数時間の命が、経済効率だけのために終わってしまう…。
これが、卵の生産システムの「当たり前」となってしまっているのが、今の現実です。

養鶏場の環境が鶏に与える負荷

スーパーでよく見かける、手頃な値段の卵。

でもその背景には、私たちが想像しないような現実があるかもしれません。

すべての養鶏場ではありませんが、特に工業化された大量生産の現場では、こんな問題が起きています。

劣悪な環境での飼育

多くの安価な卵の生産現場では、「バタリーケージ」と呼ばれる狭い檻の中に鶏がぎっしり詰め込まれています。

羽を広げることもできず、自然な行動はほとんど制限され、ストレスの多い環境で暮らしています。

国内でもまだ多くの採卵場でこの方式が続けられており、持続可能性が問われています。

薬剤の常用リスク

こうした過密環境では病気のリスクが高くなるため、抗生物質や成長促進剤が使われることもあります。

もちろんすべての養鶏場がそうではありませんが、海外では規制されている薬剤が、日本では使われていることもあるため、注意が必要です。

卵を産めなくなった鶏の行方

採卵効率が落ちた鶏は、1〜2年で処分されるケースが一般的です。

また、卵を産まないオスのひなは、生まれてすぐに殺処分されることも。

これも、効率とコスト優先の生産体制が背景にあります

自然な鶏との寿命の違い

本来、鶏は8〜10年ほど生きる動物です。

しかし、産卵用として育てられる鶏は、平均1〜2年の命で終わるという大きなギャップがあります。

「どんな卵を選ぶか」が、「どんな生き方を支えるか」にもつながっているのです。

📝 コラム

鶏はいつから人間と一緒に暮らしてるの?

今、私たちがスーパーで手に取る卵。
そのルーツをたどると、なんと約4000年前の東南アジアまでさかのぼるんです。

鶏はもともと野生の鳥「セキショクヤケイ」などが起源とされていて、
人に飼われるようになったのは、紀元前2000年ごろと言われています。
ただ、もっと古く、紀元前6000年ごろにはすでに飼育されていたという説もあるんだとか。

初めは卵を取る目的ではなく、
「時を告げる鳥(=朝を知らせる声)」や、宗教儀式などでのシンボル的な役割だったことも。

日本では弥生時代(約2300年前)にはすでに鶏がいたとされていて、
古墳時代の遺跡からは鶏の骨が見つかっていることもあります。

つまり、私たち人間と鶏の関係は、何千年もの歴史を持つご近所さんのようなもの。
それだけに、現代の工業化による飼育スタイルの変化は、大きなターニングポイントとも言えそうです。

未来への一歩|卵の問題に立ち向かう新しい動き

オスひよこの殺処分や鶏たちの飼育環境など、卵の背景にはいくつもの課題がありました。
けれど今、世界では少しずつこの現実を変えようとする動きが生まれています。

ここからは、「どうすれば変えられるのか?」という問いに対して、
実際に始まっている取り組みや、希望の兆しをご紹介していきます。

救世主?インオボセクシングとは?

殺処分を、どうにかできないの?
と思う人も多いはずです。

最近注目されているのが、インオボセクシングという新技術です。
これは、卵の段階で中のヒナの性別を判別する方法。

つまり、オスの卵を孵化させる前に除去できれば、
ひよこが生まれてから殺す必要がなくなります。

現時点ではコストや技術面で課題もありますが、
将来的にはオスひよこの殺処分ゼロを目指せる希望の技術として、世界中で研究・実用化が進められています。

海外ではもう変わり始めている!

ヨーロッパでは、この問題に対してかなり積極的な動きがあります。
たとえば、ドイツ、フランス、イタリアは、オスひよこの殺処分を禁止する法律を施行しました。

企業も変わり始め、オーガニック卵ブランドなどは、『オスも育てる「両性飼育」』を取り入れる例が出てきています。

日本でも一部の企業や団体がこの問題に取り組み始めていますが、
まだまだ大きな社会的議論にはなっていません。

それでも、少しずつ、世界は変わろうとしている
そんな希望も見えてきています。

代替卵という選択肢

最近、話題になっているのが「代替卵(プラントベースエッグ)」です。

動物性卵を使わず、植物由来の原料だけで作られたこの新しい選択肢は、アニマルウェルフェアの観点からも注目されています。
植物性卵は、えんどう豆タンパクや緑豆粉などをベースに、食感や風味を卵に近づけて開発されたもの。
特にスクランブルエッグやオムレツなどに使いやすく、最近では日本国内でもスーパーや自然食品店で手に入るようになってきました。

たとえば:

  • HOBOTAMA(ほぼたま)
  • Ever Egg(エバーエッグ)
特徴HOBOTAMA(ほぼたま)Ever Egg(エバーエッグ)
主な原材料豆乳加工品+植物油脂など黄えんどう豆などの野菜由来
アレルゲー対応卵不使用・卵アレルギー対応卵不使用・アレルギー対応
味・食感とろっとした半熟風、優しい旨みふわっととろける半熟食感
使い方・調理例スクランブル・オムライス・バーガーなどスクランブルエッグ・オムライスなど
保存性・ストック対応冷凍保存・業務用サイズあり常温保存(最大695日)・ストック向き
栄養面卵不使用で安心、開発時に味と栄養のバランスを考慮コレステロールゼロ・カロリー&脂質大幅オフ
サステナビリティ植物性食品で環境負荷が低い植物性食品で環境負荷が低い
利用シーン・対象ヴィーガン・健康志向・宗教制限のある人向け健康志向・動物福祉を気にする若年層~幅広い世代
安心感・品質国内トップの卵メーカー「キユーピー」品質食品ロス対策、次世代の食として注目

これらはすべてコレステロールゼロで、環境への負荷も少ないのが特徴です。
調理法は卵とほぼ同じなので、ヴィーガン初心者でも気軽に取り入れやすいですよ。
少しずつ、未来にやさしい食卓へシフトする第一歩としておすすめです。

まずは1回、代替卵でスクランブルに挑戦してみようかな」そんな気軽さでOK!

卵は実は「完全栄養食」でもあるんです

卵を食べるかどうか、迷う人が多いのは、
やっぱりその栄養価の高さに理由があります。

「完全栄養食」とも呼ばれる卵には、
体に必要な栄養がぎゅっと詰まっているんです。

ここではまず、卵が持つ具体的な栄養素と、
それをヴィーガンの食生活でどう補えるのかを、やさしく解説していきます。

卵の栄養素について

卵は、

  • タンパク質
  • 脂質(オメガ3脂肪酸など)
  • ビタミンA、D、E、B群
  • ミネラル(鉄、亜鉛、セレンなど)

などをバランスよく含んだ、まさに「栄養のかたまり」。

ビタミンCと食物繊維以外は、ほぼすべての必須栄養素が含まれているんです。

とくに注目されるのは、

たんぱく質の吸収率が高いこと(約97%)
ビタミンDが自然にとれる数少ない食品

という点です。

1個の卵でここまで栄養がとれるなら、
「食べないのはもったいない」と思うのも自然ですよね。

ヴィーガンが卵の栄養を代替するなら

実は、卵を使わない生活でも、栄養バランスはしっかり整えられます。
以下は卵に含まれる主な栄養素と、ヴィーガン食材での代替例です。

栄養素ヴィーガン代替食材
たんぱく質豆腐、大豆ミート、レンズ豆、テンペ
脂質(オメガ3)チアシード、アマニ油、くるみ
ビタミンDきのこ類(天日干し)、強化豆乳
ビタミンB群全粒穀物、アボカド、栄養酵母
鉄・亜鉛ひじき、小松菜、かぼちゃの種

これらを日々の食事に取り入れれば、
卵に頼らなくても、しっかり栄養をカバーできます

完璧を目指す必要はありません。
「ちょっと意識してみる」だけでも、体はきちんと応えてくれますよ。

ちなみに私は「おおむねヴィーガン」派です

「ヴィーガン」と聞くと、すべての動物性食品を徹底的に避けるストイックな印象を持たれることが多いです。
でも私は、もう少し柔らかい考え方で日々の食事を選んでいます。

基本は植物性をベースにしながら、必要に応じて少しだけ動物性も取り入れる。
それが私の「おおむねヴィーガン」スタイルです。

「完璧じゃなくてもいい」という選択

たとえば外食や旅行中、完全にヴィーガンの選択肢がないとき。
そんなときに無理をして我慢するのではなく、柔軟に対応しています。

日常では植物性を意識しつつ、
これは食べてみたい
今日は気持ちが向いてる
そんな直感も大切に。

100%を目指すより、「続けられる心地よさ」を大事にしています。

それでも卵を選ぶなら、気にしたいこと

完全に避けるのが難しいとき、
もし卵を食べるなら、できるだけ負担の少ない選択肢を選びたいと思っています。

たとえば、

  • 平飼い(放し飼い)や有機卵など、飼育環境に配慮したもの
  • 地元の農家さんや信頼できるルートから直接買う
  • 「オスのひよこ殺処分をしない」と明記された卵を選ぶ


そんなふうに「背景ごと応援したくなる養鶏場」があることを知って、
できる限り、誠実な養鶏場から卵を買いたいと思うようになりました。

よくある質問(FAQ)

ヴィーガンでも卵だけOKにしてる人はいる?
はい、います!
「完全ヴィーガン」ではないけれど、卵だけは柔軟に考える人も増えています。
「フレキシタリアン(ゆるい菜食)」や「ヴィーガン寄り生活」を送る人たちですね。
「平飼い卵」ってどう違うの?
平飼い卵とは、ニワトリたちが自由に動き回れるスペースで育てられた卵のこと。
 ケージに閉じ込めない
 自然に近い生活ができる
 抗生物質の使用も少ない
そんなメリットがあるから、卵を選ぶなら平飼いがおすすめです!
ヴィーガンにならなくても、できることある?
もちろんあります!
 食材を選ぶとき、ちょっと意識を変える
 週に1回だけ動物性を控える
 ヴィーガンカフェに行ってみる
こういう小さなアクションでも、世界はちゃんと変わります。🌍✨
卵を食べたら、もうヴィーガンじゃないの?
厳格な定義では「卵=動物性食品」だから、ヴィーガンではないとされます。
でも最近は「おおむねヴィーガン」「プラントベース中心」など柔軟なスタイルも増えています。
「できる範囲でやさしい選択を」それが大切な一歩です。
卵をやめたら栄養が心配…たんぱく質はどうすれば?
大丈夫!ヴィーガンでも良質なたんぱく質はしっかり摂れます。
豆腐・納豆・レンズ豆・テンペ・オートミール・ピーナッツバターなど、選択肢はたくさん。
足りてるか不安なときは、管理栄養士さんに相談するのも安心だよ。
代替卵っておいしいの?調理しにくくない?
最近の代替卵はびっくりするくらい進化してます!
スクランブル風・オムレツ風・ベーキング用まで種類豊富。
クセがなくて扱いやすいタイプも増えてるから、初心者さんでも安心。
おすすめ商品は本文でも紹介しているので参考にしてみてね。
完全にやめられなくて自己嫌悪してます…
そんな必要はまったくありません。
「やさしさ」は完璧じゃなくて大丈夫。
迷うのも自然なこと。立ち止まる日があってもいいんです。
大切なのは、自分を責めずに、少しずつ前に進もうとする気持ち。
昨日より今日、ほんの少しでも軽やかに。
その一歩が、もうやさしい選択です。

おわりに|知って選ぶ。それがやさしさ

ヴィーガンでいるか、そうでないか。
卵を食べるか、控えるか。
その答えに、正解はありません

でも、何が起きているかを「知ること」
そして「自分で選ぶこと」には、大きな意味があります。

私たちの毎日の選択は、小さくても社会を変える力を持っています。

だからこそ、完璧じゃなくていい。
迷いながらでも、できるところからやさしい選択をしていきましょう。

みなさんも、今日のこの記事をきっかけに
「わたしはどうしたい?」と、一度ゆっくり考えてみてくださいね。