
ねえ、アラカン紳士さん。
鶴太郎さんは、動物の肉を断ち、草と豆のみで生きておられるとは本当なの?
しかも55歳にして始めたとか…常人には信じがたいわ。

マダムが驚くのも無理はありませんね。
彼こそ“己の内側”に従い、新たな生を選び取った真の実践者。
年齢に縛られぬ変化とは、まさに気高き精神の証でありませんか。
はじめに|「変わること」に年齢は関係ない

ヴィーガンという言葉には、しばしば“若者文化”のイメージがつきまといます。
SNSや環境運動、動物愛護といった文脈の中で語られることが多く、「自分とは関係ない」と感じている中高年の方も少なくありません。
しかし、本当にそうでしょうか?
実は人生の折り返しを過ぎてから、自身の心と体に深く向き合い、食と暮らしを見直すことで、真の健康と安定を取り戻した一人の人物がいます。
それが、俳優・画家・書家・ヨガ実践者として多才に活躍する片岡鶴太郎さんです。
今回は、片岡鶴太郎さんの生き方を通して、アラカンから始めるヴィーガンの意味を考えたいと思います。
「完全ヴィーガン」は難しくても、「おおむねヴィーガン生活」なら、私たちにも十分取り入れられるヒントがあります。
- 年齢を重ねてからでも、食と生き方を根本から変えることはできる
- “体の声を聞く”ことが、自然なヴィーガンへの第一歩になる
- 日本文化の中には、もともとヴィーガン的な価値観がある
- ヴィーガンは“我慢”ではなく、“表現”や“心の調和”につながる生き方
鶴太郎さんの1日|祈りのような暮らし(24時間ルーティーン)

「生きることそのものが、瞑想であり、芸術であり、祈りである」 そんな静かな覚悟が感じられる、片岡鶴太郎さんの1日を見てみましょう。

目覚ましを使わず、自然に目覚める深夜1時半ごろ。 まずは白湯をゆっくり一杯飲み、内臓をやさしく目覚めさせます。
※ 白湯生活はおおむねヴィーガンな方にも人気の朝習慣。体を温め、消化力もアップします。

呼吸法、アーサナ(ポーズ)、内臓の浄化法などを約3時間かけてじっくりと実践。
心と体のノイズをリセットし、1日をクリアに始めるための時間だそうです。
※ 朝のストレッチや瞑想を5〜10分でも取り入れるだけでも、気分が整いますよ。

書や絵、俳句など、アートによる表現で内面を整えるひととき。
テレビやスマホはつけず、自然の音を感じる時間を大切にされているそうです。
※ ヴィーガン生活では「感性」も整える時間がとても大事。静かな朝は、心の余裕づくりに効果的です。

午前中は食事をせず、白湯やお茶で過ごす。 自然と空腹を感じながら、読書や観察の時間を楽しむとのこと。
※ 空腹の時間を作る「プチ断食」的なライフスタイルも、体調改善の手段として注目されています。

唯一の食事は夕方に。
内容は玄米、味噌汁、ぬか漬け、季節の野菜などの和食中心。
動物性食品は使わず、いただく命に感謝しながら、1時間ほどかけて丁寧に食べるそうです。
※ 完全ヴィーガンでなくても、夕食を植物性中心に切り替えるのはおすすめ。消化も軽く、睡眠の質が上がります。

食後は再び静かな内省の時間。自分の感情や気づきを紙に書き出すことで、心の整え直しをしているそうです。
※ ヴィーガン生活でも、心のセルフケアはとても大切。夜にスマホを置いて、ペンを持つ時間は癒しになります。

スマホやテレビは見ず、夜9時前後には就寝。 翌朝のために、静かに呼吸を整えて眠りにつくライフスタイルです。
※ 入眠前の光を減らすのは、自律神経の安定にとても効果的です。

片岡鶴太郎さんの生活は、一見するとストイックで非現実的に見えるかもしれません。
けれど、その本質は「内なる声に耳を傾け、丁寧に生きる」という姿勢。
私たちも、すべてを真似る必要はありません。
白湯を飲む、野菜中心にする、静かな朝時間を作る。
そうした小さな“取り入れやすいヴィーガン的習慣”からでも、暮らしと心が変わっていきます。
無理のない、自分らしいスタイルで。今日から一つでも、始めてみませんか?
ヴィーガン転向のきっかけ|「肉が合わない」と気づいた日

鶴太郎さんが動物性の食品をやめるきっかけになったのは、とてもシンプルな“体の反応”だったそうです。
ある日、肉を食べた後に体が重く、どんよりとした感覚に包まれた。なんだかエネルギーが滞るような、不自然な感覚。
「これは、自分に合っていないんじゃないか?」と直感したそうです。
それ以来、無理にやめたというよりは、自然と「欲しくなくなった」とのこと。
※ ヴィーガンへの入り口は、人それぞれ。
動物への思いや環境問題もありますが、こうした“体の声”に耳を澄ますことも立派なきっかけです。
55歳での大転換|食を変えることは、自分を取り戻すこと

俳優、芸人、画家として多忙な日々を送っていた鶴太郎さん。
テレビ収録や舞台の裏で、どこか心が置き去りになっていたと語っています。
そんなときに出会ったのがヨガ。
はじめは身体を柔らかく保つ目的だったそうですが、続けるうちに「心が静まる」「本来の自分が戻ってくる」ような感覚を持ったそうです。
すると、自然と“食事”も変えたくなった。「この内側の静けさに合う食事って、どんなだろう?」
そう考え、植物性中心の、シンプルで穏やかなごはんに切り替えていったのだとか。
※ 食を変えることは、自分の内側を変えることにもつながります。アラカン世代からでも、遅いなんてことはありません。
日本文化に宿る“ヴィーガンの原点”|精進料理・禅・マクロビ

片岡鶴太郎さんの暮らしぶりには、日本ならではの“食と心の美意識”が随所に感じられます。
実はヴィーガンという考え方は、遠い異国の流行ではなく、私たちの文化の中にも古くから根付いていたものです。
たとえば、仏教の教えに基づいた精進料理。
あるいは、禅の精神に通じる静かな食事の作法。
そして、自然と調和する食養生「マクロビオティック」。
それらはすべて、「命を大切にし、心と体の調和をはかる」暮らしの知恵です。
ここでは、鶴太郎さんのライフスタイルと重なる、日本の“ヴィーガン的文化”を紐解いてみましょう。

仏教に基づく精進料理は、もともと動物性食品を避ける文化です。
殺生を避け、旬の野菜や乾物を上手に使って、滋養に満ちた料理を作る。
※ これはまさに、日本的ヴィーガンの原点。
精進出汁や干し椎茸、昆布の旨味は今こそ見直したい伝統の味です。

禅の食事には「五観の偈(ごかんのげ)」という教えがあり、
・いただく命に感謝すること
・自分の行いを省みること
・心を落ち着けていただくこと
など、ただ食べるだけでなく “心の調え”も大切にされています。
※ 一口ごとに丁寧に噛む習慣は、ヴィーガンでなくともすぐに取り入れられる「食べる瞑想」です。

マクロビオティックは、「陰陽のバランス」「地産地消」などを大切にした、穏やかな食養生のスタイル。
鶴太郎さんの食卓にも、玄米や季節の野菜、発酵食品などマクロビに通じる考え方が見られます。
※ 「身体を冷やす食材を控える」「甘い物を控えめに」など、ほんの少しの意識で心身の調和が整いますよ。
芸術に映る“命へのまなざし”|ヴィーガン=自己表現でもある

鶴太郎さんの描く絵や書、俳句には、草花、動物、季節の自然などがモチーフとして多く登場します。
それらは華美ではなく、どこか静かで、やさしい。観ている人の気持ちも落ち着くような作品です。
「描くことも、食べることも、全部“内側を整える手段”」と語る鶴太郎さん。
※ ヴィーガン生活は、食事にとどまりません。選ぶ服、言葉、リズム、すべてが“やさしく丁寧に暮らす”ことにつながります。
まとめ|55歳からでも、ヴィーガンは始められる

今回ご紹介した片岡鶴太郎さんの生き方は、
年齢に関係なく、自分を見つめ直すことができます。
食を変えることが、心と人生の質を変えるきっかけになるのです。
日本文化の中には、すでにヴィーガン的な知恵があります。
芸術や暮らし方にも、命を大切にする視点がにじんでいます。
ということを教えてくれました。
全部をいきなり真似する必要はありません。 でも、「ちょっと玄米を炊いてみようかな」「夕飯を動物性なしで作ってみようかな」といった小さな一歩が、大きな変化につながります。
“自分を丁寧に扱うこと”が、“他の命へのやさしさ”にもつながる。 それこそが、ヴィーガンの本質なのかもしれませんね。
【📚 参考文献・出典】
・『ヨガでシンプル・ライフ』(片岡鶴太郎 著)
・NHK「あさイチ」、TBS「情熱大陸」などの出演内容
・婦人画報・クロワッサン・オレンジページなどのインタビュー記事
・曹洞宗「五観の偈」、マクロビオティック入門書など