
アラカン紳士さん、最近“マクロビ”とか“薬膳”とか“ヴィーガン”とか、やたら耳にするんですけど…全部同じではありませんの?

マダム、それはまるで“紅茶とほうじ茶と麦茶の違い”を聞くようなものでして…
それぞれ趣も効能も異なるのですぞ。

おほほ、ますます分かりませんわ。
では一体、私に合うのはどれなのかしら?

その疑問、一気に晴らしましょう。
貴族のディナーのように丁寧に解説いたしますぞ、マダム!
はじめに

結論からお伝えすると、「ヴィーガン」「マクロビ」「薬膳」は似ているようで、まったく違うアプローチの食事法です。
体質やライフスタイルによって向き不向きがあるので、自分に合った方法を知ることが大切です。
最近は健康志向が高まり、食の選択肢が増えています。その反面、「何が違うの?」「どれを選べばいいの?」という戸惑いの声もよく耳にします。
私自身、がんをきっかけに食生活を見直し、ヴィーガン生活を始めて約6年。
最初はマクロビから入り、薬膳にも触れながら試行錯誤してきました。
そして今では飲まなければならない薬もなく、定期検査の数値もすべて正常。
毎日やりたいことを、最高の体調で楽しんでいます。
今はハワイのロードレースに向けて、日々トレーニング中です。
そんな私がたどり着いたのが「おおむねヴィーガン」スタイル。
基本は植物性中心ですが、必要に応じて薬膳的な食材やマクロビの知恵を柔軟に取り入れています。
この記事では3つの食事法をやさしく比較し、「あなたに合った食事法」を見つけるお手伝いをします。
- ヴィーガン、マクロビ、薬膳の基本
- それぞれの違いと特徴
- メリット・デメリットの比較
- どんな人にどの食事法が合うのか
- 実践の始め方とコツ
- アラカン世代におすすめの柔軟な取り入れ方
ヴィーガン・マクロビ・薬膳の違いとは?

食事法の名前は聞いたことがあっても、「実際にはどう違うの?」という疑問を持つ方が多いです。
ここでは、3つの基本的な特徴を整理しておきましょう。
- 動物性食品を一切摂らないライフスタイル
- 肉・魚・卵・乳製品・はちみつもNG
- 植物性100%で、動物福祉や環境保護の観点も重視
- 海外では宗教的・倫理的な理由からも広まっている
- 日本発祥、玄米・味噌・季節の野菜を基本とする
- 「陰陽バランス」に基づいた食事法
- 自然との調和や体との対話を大切にする
- 「食養生」という東洋の考えがベース
- 中国伝統医学に基づいた食養生の考え方
- 体質・季節・体調に応じて食材を選ぶ
- 必要に応じて肉や魚も取り入れる柔軟性が特徴
- 「気・血・水」や「五行」といった理論が背景にある
それぞれのメリット・デメリットを徹底比較

それぞれの食事法には一長一短があります。
無理せず、メリットを活かしながらデメリットを知って補うことが大切です。

- 腸内環境が整いやすく、便通が良くなる方が多い
- 体が軽くなり、肌の調子が良くなることも
- 地球環境や動物愛護の面でもプラスになる

- 動物性タンパク質の代替が必要(大豆製品など)
- 鉄分やビタミンB12などはサプリで補う工夫が必要
- 外食で選択肢が少ないと感じる場面もある

- 和食ベースで日本人の体質に合いやすい
- 自然との調和を感じる食生活が心の安定につながる
- 玄米や発酵食品が腸にやさしい

- 陰陽や食材のルールが難解に感じることも
- 制限が多く、外食や人付き合いに不便な場面も
- 体質に合わないと冷えや疲れが強くなることもある

- 自分の体質や季節に合った食事が可能
- 不調を食事でケアするという新しい視点が得られる
- 「食べることで整える」感覚を楽しめる

- 中医学の知識が少し必要で、最初は難しそうに見える
- 手間がかかると感じる料理もある
- 特定の食材が近所で手に入りにくいこともある
コラム:陰陽の食材ルールってなに?

マクロビオティックでは、すべての食材や調理法を「陰」と「陽」に分類します。
体を冷やす・緩める性質が「陰」、温める・引き締める性質が「陽」です。
たとえば:
陰性:トマト、きゅうり、バナナ、コーヒー、白砂糖
陽性:塩、味噌、根菜、梅干し、動物性食品
中庸:玄米、かぼちゃ、人参、キャベツ、ごま
調理法にも陰陽があり、
陰性:生食、短時間の蒸し料理、ジュース
陽性:煮物、焼き物、塩分の強いもの
アラカン世代には「中庸」を中心に据えつつ、
・冷え性の方は陽性寄りに
・のぼせやすい方は陰性寄りに
バランスを調整するのがおすすめです。
難しく考えず、「最近冷えてるな」「体が重いな」という感覚に耳を傾けて、 食材選びに活かしていく。 それが陰陽バランスの活かし方です。
では実際に、体に対する効果はどんな違いがあるのでしょうか?
体に対する効果の違いを比べてみよう

それぞれの食事法は、体に対する働きかけ方も少しずつ異なります。
どの方法が今のあなたの体に合うか、比較しながら見ていきましょう。
- 腸内環境を整えやすく、便通改善やデトックス効果が期待できる
- 動物性脂肪を避けることで、コレステロールや中性脂肪の改善に◎
- 抗酸化作用の高い野菜・果物が中心で、肌や体の軽さにも変化が
- 消化にやさしい和食中心の食事で、胃腸が休まりやすい
- 陰陽バランスで冷えやのぼせなどの不調を緩和しやすい
- 季節に沿った食生活が、自律神経やホルモンバランスの安定につながる
- 体質や不調に合わせて食材を選べるため、ピンポイントで改善が期待できる
- 冷え、乾燥、疲れ、むくみ、女性特有の不調など、予防医学として活用できる
- 食を通して「整える」意識が高まり、自己管理力がアップする
【まとめ】
・ヴィーガン=体の大掃除とリセット
・マクロビ=毎日を穏やかに整える土台づくり
・薬膳=不調を狙ってケアするオーダーメイド
どの食事法があなたに合っている?タイプ別診断

どの食事法が自分にしっくりくるのか。
まずは自分の体調・価値観・生活スタイルに合わせて「ベースとなるスタイル」を見つけてみましょう。
そして、状況に応じて他の食事法の知恵も“部分的に”取り入れることで、より快適で続けやすい健康習慣になります。
- 動物愛護や環境問題に共感している
- 肉や乳製品で体調を崩しやすい
- シンプルで整った食生活を望んでいる
- 加工食品を減らして体内リセットをしたい
- 和食が好きで、季節感を大切にしたい
- 胃腸が弱く、穏やかな食事が合っている
- 自然と調和した暮らしを意識している
- 丁寧な生活を目指している
- 冷え性や慢性的な不調を改善したい
- 自分の体調と日々向き合いたい
- 食事を“予防”や“自己ケア”として活用したい
- 季節や天候による変化に敏感
アラカン世代こそ実践したい“おおむねヴィーガン”という考え方

ヴィーガン、マクロビ、薬膳。
名前もアプローチも異なりますが、実はどれも「健康を整える」「自然と調和する」「食事に意味を持たせる」という、共通の価値観を持っています。
とはいえ、それぞれにルールがありすぎると、日常生活の中ではかえってストレスになることも。
家族の食事、外食の予定、旅行、体調の波――。
アラカン世代には、こうした“揺らぎ”に対応できる柔軟さが何よりも大切です。
そこで私がおすすめしたいのが、「おおむねヴィーガン」というスタイルです。
これは、完全菜食を目指すのではなく、基本を植物性の食事にしながらも、必要に応じてマクロビや薬膳の考え方を組み合わせていくという柔軟なアプローチです。
たとえば:
- 基本は植物性メインだが、外食では魚や卵もOKにしてストレスを減らす
- 朝は薬膳の知恵を活かした生姜入りのお粥で体を温め、昼はマクロビ的な玄米と味噌汁で整える
- 肌寒い日には、体を温める陽性の食材やスープを意識して取り入れる
- 仕事や人付き合いのある日は、無理せず柔軟に「楽しみ優先」の一食にする
このように、「自分の体調」「季節」「気分」「ライフスタイル」に合わせて、調整していく。
完璧を目指すのではなく、「だいたいOK」で続けられることが、習慣化への一番の近道です。
アラカン世代の体は、無理をするとすぐに反応が出ます。
だからこそ、“ゆるやかに整えていく”ことが、結果として心と体の安定につながります。
「おおむねヴィーガン」は、あなた自身と対話する食事法。
体と向き合いながら、自分らしい健康習慣を作っていくベースとして、ぜひ取り入れてみてください。

曜日 | 朝 | 昼 | 夜 | ポイント |
---|---|---|---|---|
月 | 薬膳粥 | 玄米+野菜炒め | 味噌スープ+大豆ミート | 疲れを抜くリセット食 |
火 | 果物+甘酒 | 雑穀ごはん+ぬか漬け | 湯豆腐+青菜 | 発酵食品で腸活 |
水 | 豆乳スムージー | 野菜カレー+玄米 | キノコスープ+海藻サラダ | 抗酸化食材を多めに |
木 | 白湯+にんじんジュース | 和風パスタ(動物性なし) | 生姜たっぷりスープ | 冷え対策 |
金 | ハーブティー+りんご | 大根の煮物+雑穀 | なつめと椎茸の煮込み | 薬膳強化Day |
土 | たまご粥+青菜(ゆるマクロビ) | 寿司ランチ(外食) | 玄米リゾット+湯葉 | 外食も楽しむ日 |
日 | 好きなものを軽く | おにぎり+味噌汁 | 野菜しゃぶしゃぶ | 緩やかに調整する日 |

薬膳風 生姜のお粥(朝におすすめ・1人前)
材料:白米大さじ3、水400ml、生姜すりおろし少々、梅干し1個、ねぎ、塩
作り方:
- 鍋に水と米を入れて弱火でコトコト煮る(20〜30分)
- 生姜・ねぎ・塩で調整
- 梅干しを添えて完成
▶ 冷えや疲れが気になる朝にピッタリ!
ヴィーガン和風ハンバーグ(夕食の主菜に・1人前)
材料:木綿豆腐1丁、玉ねぎ1/2個、パン粉、すりおろしレンコン、塩・こしょう・醤油
作り方:
- 材料を混ぜて成形、オイル少々で両面を焼く
- 醤油ベースのタレ(みりん・醤油・すりおろし生姜)で仕上げ
▶ 肉なしでも驚くほど満足感のある主菜!
コラム:昔の日本の食事って実はマクロビ?

「一汁一菜」「味噌」「ぬか漬け」「旬の野菜」。
昭和の食卓には、実はマクロビオティックに通じる知恵がたくさん詰まっていました。
冷蔵庫が今ほど普及していなかった頃、人々は旬の野菜を使い、発酵食品で保存し、体を冷やさないよう工夫していました。
● 玄米を主食とし、味噌汁で温める
● 漬物や海藻で腸内環境を整える
● 季節に応じた食材で自然と調和をとる
これらはまさに、マクロビの「身土不二」や「一物全体」「陰陽バランス」といった考え方そのもの。
私たちの祖父母の時代の食事には、理にかなった健康法が自然と息づいていたのです。
現代では、スーパーや冷凍食品の普及で、いつでも好きなものを食べられるようになりました。
けれどその便利さが、体調や心の乱れを生む一因になっているのかもしれません。
マクロビを難しく考える必要はありません。
まずは“昔ながらの和食”を意識するだけで、体と心のリズムが整い始めます。
たとえば、朝は味噌汁とごはん、夜は季節の野菜のおかずを一品。
それだけでも、マクロビ的な食卓に一歩近づけますよ。
体験談:私が「おおむねヴィーガン」で変わったこと

私がヴィーガンに興味を持ち始めたのは、がんの治療を終えた直後でした。
がんの経験をした私の中にあったのは、当たり前ですが
・もう2度とがんになりたくない
です。
ただ、人生は不意に終わることもあるし、気をつけても病気になる可能性はありますので、
・病気になる確率を減らす
・短くても精一杯人生を楽しむ身体にする
ことを目標にしました。
最初に試したのはマクロビでした。
しかし、陰陽の考えや厳格なルールに疲れてしまい、途中で挫折。
厳格なヴィーガンにもトライしましたが、日本で続けるには現実的なハードルが高すぎました。
そこで見つけたのが「おおむねヴィーガン」という考え方です。
肉や魚は基本控えつつ、友人との食事や外食のときは楽しむ。
朝はコーヒーのみ、昼はヴィーガン中心の食事をたっぷりと、夜は薬膳風のお粥や、マクロビを取り入れた軽食です。
ときには、食材に魚などの魚介類が入ることもあります。
こうした「ゆるやかで続けやすいスタイル」が私には合っていました。
今では、疲れにくくなり、肌の調子も安定。
毎日、スポーツを楽しんでいます。
以前よりも体が軽く、気持ちも前向きになりました。
何より、自分で選んで食べることに喜びを感じるようになったのが大きな変化です。
Q&A:おおむねヴィーガン的ヒント

- ヴィーガンって、動物性を完全にやめないといけないんですか?
- いいえ、完璧を目指す必要はありません。
「おおむねヴィーガン」のように柔軟に取り入れることで、無理なく続けられます。
- マクロビは白砂糖もNGと聞いてびっくりしました。
- 基本は避ける方針ですが、完全にゼロにしなくてもOK。
まずは白砂糖の代わりにてんさい糖や黒糖を試すなど、できる範囲で取り入れましょう。
- 薬膳って難しそうでハードルが高いです。
- 実は生姜、ネギ、なつめなど身近な食材が薬膳の基本です。
まずは「冷えに良い食材」を意識するだけでも立派な薬膳の第一歩です。
- 家族と一緒に食べるとき、食事法を合わせにくくありませんか?
- 一緒に食べられるメニューを選ぶのがおすすめです。
たとえば、主菜は動物性でも、副菜をヴィーガン風にすることで、家族も満足できます。
まとめ:まずは“今日の一食”から始めてみよう

この記事では、ヴィーガン・マクロビ・薬膳という3つの食事法の違いと共通点、そしてそれぞれのメリット・デメリットを見てきました。
どれか一つを完璧に極めるのではなく、「自分に合ったスタイル」をベースにしながら、他の方法を柔軟に取り入れることが、アラカン世代にとって無理のない賢い選択です。
健康・自然・体質改善という共通のゴールに向かって、今の自分にちょうどいい方法を選ぶ。
それが「おおむねヴィーガン」という考え方の強みです。
まずは、できることから始めてみましょう。
今夜は動物性の食材を控えてみる
白米を玄米に変えてみる
(玄米が苦手なら、まずは雑穀米から)
味噌汁に季節の野菜を加えてみる
スーパーフードではなく“昔ながらの食材”を見直す
その一食が、きっと明日の体と心を変えてくれます。
今日から、あなたにぴったりの「おおむねヴィーガン生活」を始めてみませんか?