
アラカン紳士はヴィーガン生活をして、体に変化はありましたの?

もちろんですともマダム。
アラカンから始めるヴィーガンこそ、体に対する効果が感じられやすいのですよ
はじめに:中高年における体の変化とは?

年齢を重ねるごとに、
「あれ、前はこんなに疲れなかったのに」
「最近、お腹まわりが気になるな」
といった変化を感じる方が増えてきます。
これは自然なことですが、日々の食生活がその変化を和らげたり、逆に加速させたりするのをご存じでしょうか?
中高年が感じる主な体調の変化は以下とおりです。
- 太りやすくなる(基礎代謝の低下)
- 血圧やコレステロールの上昇
- 便秘や胃腸の不調
- 肌の乾燥やくすみ
- 疲れが取れにくい
「年だから仕方ない」と思われがちなこれらの変化。
けれど、食事を見直すことで、少しずつ整えていくことは十分可能です。
- 中高年に起こりやすい体調の変化とその背景
- WHOと厚労省が示す動物性食品のリスク
- ヴィーガン生活で実感しやすい身体の変化
- 続けやすく安全な実践方法と注意点
始まりはガンだった

57歳になった今、私は「ヴィーガン生活」という選択を続けています。
しかし、これは最初から意識高く始めたライフスタイルではありません。
むしろ、“仕方なく”始めたと言った方が正しいかもしれません。
私がこの食生活に向き合うようになったのは、「がん」がきっかけでした。

7年前、私はがんを患いました。
それは人生のどこかで訪れるかもしれないと思っていたものでしたが、いざ自分に起きると、世界の見え方がまるで変わります。
「自分の健康って、こんなに脆かったのか」
「人生はあまりに短く、いつ死んでもおかしくはない」
そう思った私は、再発防止と、健康寿命の延伸を強く意識するようになりました。

私の目標は「長生き」ではありません。
むしろ、“たとえ短くとも病気にならない体を作って、今を元気に過ごす”ことです。
人はすぐ死ぬ、だから「今」を最高に楽しむための体を手に入れる。
そう考えたとき、「食べるもの」を見直さないわけにはいきませんでした。
そうして、試行錯誤をしてたどり着いたのが「おおむねヴィーガン」というライフスタイルでした。
WHOと農林水産省が示す「加工肉・赤身肉」の健康リスク

2015年、世界保健機関(WHO)の国際がん研究機関(IARC)は、加工肉を「グループ1(人に対して発がん性がある)」、赤身肉を「グループ2A(おそらく発がん性がある)」と分類しました。
これは驚くかもしれませんが、加工肉はタバコやアスベストと同じ「グループ1」に属しています。
それだけ健康への影響が大きいと考えられているのです。
日本の農林水産省もこの報告を受け、加工肉の過剰摂取によって大腸がんのリスクが高まる可能性があると公式サイトで紹介しています。
出典:農林水産省「国際がん研究機関(IARC)による加工肉及びレッドミートの発がん性分類評価について」
「肉を絶対にやめるべき」という話ではありません。
ただし、年齢とともに体の機能が変わる中、こうした情報を知っておくことは大切な判断材料になります。
IRACによる発がん性の分類
- グループ1: ヒトに対して発がん性がある
このグループには、発がん性の十分な証拠がある物質が含まれます。
例としては、アフラトキシン、アルコール飲料、加工肉、ベンゼンなどがあります。 - グループ2A: ヒトに対しておそらく発がん性がある
このグループは、発がん性の証拠が限定的であり、実験動物においては発がん性の十分な証拠がある場合に分類されます。
例には、赤肉や非常に熱い飲み物が含まれます。 - グループ2B: ヒトに対して発がん性がある可能性がある
このグループには、ヒトにおいて発がん性の限定的な証拠があるか、実験動物において発がん性の十分な証拠がある物質が含まれます。
例としては、アスパルテームや漬物などがあります。 - グループ3: ヒトに対する発がん性について分類できない
このグループには、発がん性の証拠が不十分である物質が含まれます。
例としては、コーヒーやマテ茶などがあります。
この分類は、発がん性がないことを示すものではなく、データが不足していることを意味します。
【出典】内閣府食品安全委員会「リスク評価と国際がん研究機関(IARC)の発がん性評価について」
アラカンに過剰なカロリーは必要ない

私も若いころは、脂っこい料理やボリュームのある食事も平気で食べていました。
でも、年齢を重ねると基礎代謝が落ち、同じ量を食べても脂肪として蓄積されやすくなります。
「若いころと同じ食事」が、体に重くのしかかるようになるのです。
そのためには、年齢に合った食事量と内容を見直すことが必要です。
野菜を中心にした食事は、胃腸への負担が少なく、体も軽く感じられるようになります。
人がブラック労働をしてはならないように、胃腸もブラック労働にならないように気をつけなければなりません。
ヴィーガン生活がもたらす中高年の体への5つの変化
ヴィーガンと聞くと「厳しそう」「若者のもの」というイメージを持たれる方もいるかもしれません。
でも、実際には中高年の体にやさしくフィットする、穏やかな食習慣でもあるのです。
脂っこい食事を減らし、植物性のやさしい食材に変えることで、胃腸への負担が軽くなり、眠りが深くなる傾向があります。朝の目覚めがラクになるだけで、一日の始まりが変わってきます。
野菜や豆類、雑穀などには食物繊維がたっぷり含まれており、腸の動きを活発にしてくれます。「出す力」が整うと、体も心も軽くなるものです。
無理に食事制限をしなくても、カロリーや脂質の摂取が自然に抑えられることで、体重がゆるやかに落ちていく方が多いです。お腹まわりの変化は見た目にも大きな差が出ます。
カラフルな野菜や果物に含まれる抗酸化成分は、肌の老化を防ぐ力があります。乾燥やくすみが和らぎ、「最近なんだか明るくなった?」と言われることも。
体に負担をかける加工食品や揚げ物を減らすことで、慢性的な炎症が落ち着き、結果として疲れにくい体質に近づくことがあります。動くのがラクだと、自然と気持ちも前向きになりますね。
ヴィーガン生活を始める際の注意点

どんな食事法でもそうですが、始めるときには注意点があります。ヴィーガンも例外ではありません。
動物性食品を控える分、以下の栄養素にはとくに意識を向けてみてください。
タンパク質:豆腐や納豆、レンズ豆、オートミールなどで補えます。
ビタミンB12:体内で作れないため、サプリメントや強化食品の利用がおすすめです。
鉄・カルシウム:小松菜、ひじき、豆類などの植物性食品にも豊富です。
すべてを完璧にこなす必要はありません。
「おおむねヴィーガン」「週末だけヴィーガン」といった柔軟なスタイルで、自分に合ったペースを見つけていくのが続けるコツです。
ヴィーガンを始めると、食材選びや調理法がこれまでと大きく変わることがあります。
特に外食や旅行時にはメニューの選択肢が限られることも。
代替品をあらかじめ調べておくなど、生活に合った備えがあると安心です。
中高年でも無理なく続けられる工夫

真面目な人ほど、なにか始めようとするときに「完璧」を目指そうとします。
特に、中高年には凝り性の人がいて、徹底的なヴィーガンを目指す人もいます。
しかし、完璧主義は長くは続きません。
人付き合いと同じで、程よい距離感が大切です。
「70点で合格」もしくは「60点で上出来」くらいに考えたほうが長続きします。
「毎日新しいメニュー」は疲れてしまいます。
発酵食品や豆腐、きのこなどを使った簡単レシピをいくつかローテーションに入れるだけで、ずっと気がラクになります。
せっかく頑張っても、体に合っていなければ意味がありません。
定期的に血液検査や体組成チェックをして、自分の変化を客観的に見ていきましょう。
外食時には、揚げ物や肉料理を避け、サラダや豆腐料理を選ぶだけでも体への負担は軽くなります。
すべてを制限する必要はありません。
ちょっとした意識が、積み重ねとなって体に返ってくるのです。
まとめ:中高年の健康維持にヴィーガンはひとつの選択肢

私たちの体は一人ひとり異なります。
だからこそ、「何が一番自分の体に合うか」は、誰かが決めてくれるものではなく、自分自身で少しずつ試しながら見つけていくしかありません。
そして、その小さな気づきを積み重ねながら、自分にとってのベストな選択をしていく——それが、これからの健康を形作る大切なステップなのだと思います。
本記事は一般的な情報や私の体験をもとに構成されています。
すべての方に当てはまる内容ではありませんので、食事や健康についての具体的な判断は、ぜひ医師や専門家と相談しながら、無理なくご自身に合った方法を見つけてください。
年齢を重ねても、体は変わることができます。
植物性中心の食事は、体にやさしく、無理なく続けやすい方法のひとつ。
中高年の方にとって、それは“未来の自分へのギフト”になるかもしれません。
無理なく、でもあきらめずに。 ご自身のペースで、一歩ずつ試してみてはいかがでしょうか。